条例案
大津市平和・無防備都市条例(案)
(前文)
日本政府は、2004年(平成16年)、第159国会において、「1949年8月12日のジュネーヴ諸条約に追加される国際的武力紛争の犠牲者の保護に関する議定書」(以下「ジュネーヴ条約第一追加議定書」という。)を批准し、2005年(平成17年)2月28日にその効力を発することとなった。
戦争の惨禍を踏まえ、戦争のもとでの文民(市民)の犠牲と被害をなくしていくために整備されてきたのが、「ジュネーヴ条約第一追加議定書」にみられる「国際人道法」である。
しかし、戦争と殺戮の20世紀から平和と共生への21世紀へと誰もが願ったにもかかわらず、21世紀を迎えた今も戦争は世界各地に絶えない。そしてその被害者はまず無抵抗な住民である。
戦争の被害から尊い生命を守るためには、国際人道法と「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」とした日本国憲法の平和主義の理念に基づき、何よりも戦争をなくしていく努力が求められる。大津市は、平和の問題のすべてを国家にまかせるのではなく、平和を願うすべての人たちの責務として「世界連邦平和都市」「ふるさと都市大津恒久平和都市」を宣言し、真の平和を実現しようと努めてきた。2003年(平成15年)10月、全国10番目に「古都」指定された大津市は、数多くの文化財を有する歴史都市である。 古都大津の歴史・文化、市民生活の安全を守るためには、何よりも平和が大切にされなければならない。この大津が平和であれと願い、そして世界中が平和であれと願い、ここに大津市は「平和・無防備都市条例」を制定する。
(目的)
第1条 本条例は、国際平和を希求し、戦争と武力を永久に放棄するとした日本国憲法の平和主義の理念、政府のかかげる非核三原則、ジュネーヴ条約などの国際人道法ならびに大津市の「平和都市宣言」に基づくものであり、平和行政及び無防備地域宣言について定め、市民生活の平和と安全、歴史と文化を守ることを目的とする。
(定義)
第2条 本条例において、次の各号に掲げる用語をその各号のとおり定義する。
1 無防備地域
1977年の「ジュネーヴ条約第一追加議定書」第59条により、戦時において次の条件を満たす場合、紛争当事国から武力攻撃が禁止される地域のことである。
(1)すべての戦闘員並びに移動兵器及び移動軍用設備が撤去されていること。
(2)固定した軍用の施設または営造物が敵対目的に使用されていないこと。
(3)当局または住民により敵対行為が行われていないこと。
(4)軍事行動を支援する活動が行われていないこと。
2 非核三原則
日本の政策のことであり、国内では核兵器を「つくらず、もたず、持ち込ませず」を原則として守ること。
(市民の平和的生存権)
第3条 大津市民は、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
2 大津市民は、その意思に反して、戦時のみならず平時から軍事を目的とした市民権の制約や財産権の侵害、自然環境及び文化財の破壊を受けることはない。
(非核三原則の遵守)
第4条 大津市は、非核三原則を遵守し、これを侵害する行為、計画、発意があれば、声明、抗議等の手段により、停止ないしは防止に努めなければならない。
2 大津市は、核兵器(劣化ウラン兵器を含む)その他大量破壊兵器を廃絶するため国際機関、関係国、関係団体に働きかける。
(無防備地域宣言)
第5条 大津市は、戦時あるいはその恐れが明確なときは、第2条に定める「無防備地域宣言」を行い、その旨を日本国政府、当事国等に通告する。
(市の責務)
第6条 大津市は、戦争に関する事務は行わない。
2 大津市は平時から第2条に定める無防備地域の要件を満たすよう努める。
3「ジュネーヴ条約第一追加議定書」第58条に定める攻撃の影響に対する予防措置として、軍事目標の撤去ないしは戦時における機能停止を日本国政府に求める。
(文化財の保護)
第7条 大津市は、多くの貴重な文化財を保護し、後世に伝えることの大切さを自覚し、文化財が戦争によって破壊されることを防止する措置をとる。
(平和行政の推進)
第8条 大津市は、戦争の防止と恒久的な世界平和実現のために次の各号の事業を実施する。
(1) 戦争に反対する平和意識の普及と宣伝活動
(2) 戦争に反対し、平和を希求するための市民参加の事業
(3) 平和歴史教育の推進
(4)平和祈念事業の推進や平和記念物の保存、展示、建造
(5)平和のための国際交流事業、アジア諸都市との平和友好都市づくり
(6)平和のための他の地方公共団体との交流と協力
(7)その他、本条例の趣旨に沿う平和のための事業
2 大津市は前項の平和のための事業を市民自らが行う場合は、共催、後援し、必要な援助及び助成を行うよう努める。
(平和予算の計上)
第9条 大津市は前条の平和事業に必要な費用を毎年予算に計上する。
(条例の施行規則)
第10条 本条例の施行に必要な事項は別途規則で定める。
付則 1本条例は公布の日から施行する。
2本条例は公布後すみやか全国の自治体、並びにすべての国、国際連合事務局及び関係する諸団体に通知する。
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